日本の小型ソーラー電力セイル実証機イカロスのシミュレーション動画を見た海外の反応です。

イカロスはソーラーセイルと呼ばれる帆を広げ、
太陽光を受けることで宇宙を進みます。
海上で風を受けて進むヨットの宇宙版のようなものです。

このソーラーセイル技術は日本が世界で初めて実現した技術です。
燃料を必要としないため、環境への悪影響が少なく、
半永久的な航行も可能という夢の宇宙船です。

現在は試験段階ですが、2010年に打ち上げられて以降、
いまのところ試験はすべて成功に終わっています。

海外でも、日本の高い技術力に賞賛の声が上がっており、
とりわけ、クルクル回転しながら帆を広げる独自の方法に注目が集まっています。

日本では、はやぶさの影に隠れて知名度は低いですが、
イカロスにかなり詳しい海外の人もいるのを見ると、
日本人も、もっと宇宙技術に興味を持たないといけないのかもと考えさせられます。


動画



以下、この動画を見た海外の反応


■ 恐ろしい技術力だ! フランス
  
■ もしイカロスが人を乗せて飛行していたとすると、宇宙飛行士はこんなことを言うだろうね。「うわああ、ちょっと、回転するのはやめてくれ。頭がおかしくなりそうだよ。」 より厳しい耐G訓練が必要になることは間違いないだろうね。 アメリカ
  ※ 無人ですw

■ もうすでに打ち上げたのかい?全然、イカロスに関する情報が見つからないんだけど。 イギリス
  ※ イカロスは金星探査機あかつきと共に、2010年5月21日に打ち上げられました。はやぶさに比べると知名度が低く、情報が少ないのが現状です。

■ 45秒の映像は、まるで手裏剣のようだね。 オーストリア
  ※ ちなみにイカロスが回転しているのには意味があって、実は、遠心力で帆を開くためです。

■ これは最大でどのぐらい速くなるんだい?実際の映像はないのかい? フランス

 ■ re:十分な時間があれば、光速に近いぐらいのスピードに達するよ。 イタリア

  ■ re:それはあくまで理論的な話で、完璧な光を受けて推進する場合だけの話だよ。太陽光による推力は、太陽から離れるほど、指数関数的に減少するんだ。推力=太陽がもたらすはずの全推力/(イカロスの表面積/4π*太陽までの距離^2)。それに、宇宙ではあらゆる方向から放射線がやってきて、それらはある場所では、太陽光の力を超えるだろうし。あと、すごく速度が速いと、加速するのに凄まじいパワーが必要になるっていう、厄介な相対性理論の問題もあるしね。 ベルギー

    ■ re:げ、間違えた。僕が言いたかったのはもちろん、推力=(イカロスの表面積/4π*太陽までの距離^2)/太陽がもたらすはずの全推力、ってことだからね。 ベルギー

■ 宇宙空間で一体どうやって、太陽光を推進力に変換しているんだい。だれか教えてくれよ。 国籍不明
  ※ イカロスは帆に光があたったとき、その衝撃の反動で進んでいます。海上のヨットに風があたって進むのと同じような原理です。

■ 宇宙は空なわけじゃない。宇宙は粒子で満ちている。ソーラーセイルはパラシュートのように光子を受けることで、前進している。効果のあるソーラーセイルは1辺が1kmぐらいの正方形サイズだということを知っておくといい。巨大な船を動かせるだけの光子を集めるにはそのぐらいの大きさが必要なのさ。 アメリカ

■ 地球はUFOのものだ。 台湾

■ すごい方法で帆を広げることができました、と。で、それが何なの? アメリカ  
  ※ 回転しながら帆を広げる手法も日本独自でありすごいのですが、太陽光による加速を実現したことで、燃料無しでの航行の可能性が出てきたことがなによりすごいのです。

■ 我々はベータ・センタウリ(ケンタウロス座の星系)を征服した! フランス

■ くるくるくるくる~~~ ぱっ!? 日本

■ 1分間に大体115度ぐらい回転する直径400mの円盤を宇宙船の背後につける。そうすれば、宇宙船を推進させることができるというわけさ! ニュージーランド

■ イカロスは1つ目の帆と2つ目の帆をセットすることに成功した。次は、宇宙を進めるかどうかだ。 日本
  ※ 2010年7月9日にソーラーセイルによる光子加速の成功が確認されています。

■ ブブゼラを聞きながらこの動画を見ると、なんだか、「2001年 宇宙の旅」みたいに感じるよ。 アメリカ
  ※ 「2001年 宇宙の旅」は1968年4月6日にアメリカで初公開されたSF映画。

■ 万歳。ほんと、すごいと思うよ。 オランダ

■ 彼らはソーラーセイルを可能な限り遠くに移動させるべきだと思うよ。いつか、宇宙の端に到達するんじゃないかな。 アメリカ

 ※ ロマンのあるコメントですが、宇宙の端に到達する前に時間がかかりすぎて機体が塵になっていそうですね(笑)



海外の反応として、詳しい人もいればさっぱり分からない人もいるようで
そのギャップに笑いました(笑)

しかし、地味なうえ日本はあまり宣伝しないので、
これがどれだけの可能性を秘めているのか理解している人は少ないようですね、
超すごいのに・・・


イカロスの説明動画 ↓ (2013.04.16 加筆)




探査機に話を戻しますと、
どこの国でもそうですが、特に日本の宇宙開発は
厳しい制約の中で発展してきたものであると言えます。
コスト面でもそうですし、こうした宇宙開発が軍事技術に転用できる、
と騒ぐ国もありますし、日本の技術が発展するとなぜか困る人も日本国内にいるようです。


政治的な話は置いといて、
アメリカのように莫大なコストを掛けられない日本の宇宙開発では、
まさに日本人の工夫と英知が活躍している場所でもあります。

今回のイカロスで言うと、帆を張るにしても通常は大がかりな骨組みを使ったり
展開するのにも複雑なプロセスを踏む必要があり、
結果として重量がかさみ、金額も非常に大きなものとなってしまいます。

燃料を燃料で打ち上げている現代のロケット技術では、
わずか1gの増加が大幅なコスト増となってしまうこともあり、
今まで使われていた当たり前の技術では望む性能を達成できないんですね。
根本的に考えを変えていかないといけないわけです。
そのような中での今回の遠心力による帆の展開は素晴らしい技術だと思います。


その他にも、日本の探査機でよく言われるのは、探査機本体の姿勢制御についてです。
莫大な予算を掛けられるアメリカなどでは、探査機の姿勢制御はジェット噴射を多用しますが、
これは速攻性があり、きめ細やかな制御ができる半面、
問題が発生したときの予備の予備(冗長性)も含めると、
構造が複雑で重量がとても重くなってしまうという欠点があります。

もちろん、日本の小さな探査機にはこのような大がかりなものは付けられませんから、
今までの探査機には探査機本体から腕を出して姿勢を安定させる
「起き上がりこぼし」のように重力をうまく利用して自動的に安定させる技術を使ったり、
ソフトウェア側で自動操縦を行い、スピンを利用して機体の安定を図るなど、
数々の工夫と知恵で対処してきました。

ソーラーセイル本体も新しい炭素繊維の素材技術開発によってようやく実現したとのこと。

今回のイカロスのように、燃料をほとんど必要としない推進力は、
それだけで既に次世代の技術なんです。



「日本人は改良は得意だが発明はできない」という外国人の方がいますが、
現在、世界で使われている様々なものは日本人の発明なくして機能することはありません。

例えば、世界中で使われている携帯電話。
携帯電話の重要なパーツのひとつに発信器がありますが、
パソコンとは違ってアラスカのような極寒地帯からエジプトのように灼熱地帯まで、
厳しい温度条件の元での安定した確実な動作が求められます。

この携帯電話向けの温度補償型水晶発信機について
世界シェアの実に約50%を日本の京セラが握っています。
このほかにも携帯電話の中身は日本の老舗が開発したハイテク部品がぎっしり詰まっており、
日本の中小企業の技術がないと世界中の携帯電話は動かないとまで言われています。

このように目に見える部品などももちろんそうですが、
携帯電話の世界規格や家電製品のOSなど、ソフトウェアやインフラもそのひとつでしょう。

しかし、すべてがうまく行っているわけではなく、
有名な日本の企業の多くが倒産間近までの逆境を工夫で乗り切ってきた過去があります。
戦前に楽器を作っていたYAMAHAがプロペラを作り、
バイクを作り、ピアノを作るまでの話とか面白いですね。

いつものコピペ↓ があったので貼っておきます(笑)  引用元はここ

ヤマハ歴史

・最初は輸入ピアノの修理→楽器関係作る
楽器やってた流れで電子楽器も作る→DSPも作る
DSPを他に利用しようとして→ルータ作る
という流れで、楽器、電子機器、ネットワーク関係の製品を作るようになった。

じゃ、なんで発動機や具とかも作ってるかというと、

ピアノの修理で木工のノウハウが溜まる→具を作る→住宅設備も作る
・戦時中に軍から「具作ってるんだから木製のプロペラ作れるだろ」といわれて戦闘機プロペラ作る→ついでにエンジンも作る
エンジン作ったから→バイクも作る
エンジン作ったから→船も作る→船体作るのにFRPを作る
FRPを利用して→ウォータースライダー→ついでにプールも作る
プール濁ったんで→浄器作る
・失敗作の浄器で藻が大繁殖→藻の養殖始める→バイオ事業化

こうした話はYAMAHA以外にもたくさんあり、
銅山が閉山したとき路頭に迷ったがそれまでに蓄積された技術を使い、
3,5t の携帯電話ごみから1kgの金の延べ棒を作れるようになったり、

元禄時代から続く金箔技術が現在のハイテク機器に生かされていたり、
日本企業の今日の成功は努力と工夫の積み重ねであり、
決して一朝一夕ではないというのが分かります。


あまりに長くなってしまいましたが、
こうした企業は例外なく まずゲンを担ぎ、人間を大事にするというのが面白いところです。
やはり、良いモノを作るには人間そのものが大事だと実感させられますね。
日本企業の基幹技術はまさに日本人の集大成であり、底力だと思います。

しかし、何事もなかったかのように打ち上げ成功している日本って、
実は恐ろしい国なのでは・・・。


あ、JAXAへの寄付はこちらから (別に中の人ではありませんがw)