少し前に日本のAIP潜水艦の技術をオーストラリア海軍が導入する可能性がある、
という記事が発表されましたが、それに対する海外の反応です。

海洋国家であるオーストラリアは国防のため、すぐれた性能を持つ
日本の通常動力型潜水艦の技術に関心を寄せています。
続々と新型潜水艦を配備する周辺国の脅威に対抗するべく、
次期新型潜水艦を開発することは必然となっています。

オーストラリアでは既にコリンズ級潜水艦が6隻配備されていますが、
この潜水艦はいろいろと問題点が多いため、オーストラリアのメディアから批判されています。
そこで、これに代わる潜水艦を用意し、順次入れ替えていきたい考えであり、
日本の潜水艦の導入も検討したいようです。

しかし、海外でも知られている通り、日本は武器の輸出を自ら禁じています。
動画ではオーストアリア海軍の担当が旧型の潜水艦(コリンズ級潜水艦)では
戦力やその他において物足りなく、オーストラリアの長い海岸線を守るには
配備数も不足しているとの説明をしているようです。


それでは海外の反応(主にオーストラリア)を見てみましょう。


動画 携帯用動画




以下、この動画に対する海外の反応


 ■ 米国と日本政府のあいだでいろいろな見解がありますが、原子力潜水艦の導入は自然の成り行きでしょう。 ニュージーランド

■ コリンズ級は燃料食い過ぎなんだよ! アメリカ

■ 一昔前の技術なんかはやく捨ててしまえばいいのに オーストラリア

■ 原子力潜水艦は、オーストラリアの経済力では賄えない オーストラリア

■ 俺らが直面している一番の問題は、原子力潜水艦を持つことができない、国内政治のせいだ 国籍不明

■ そうりゅう型潜水艦を配備することが俺らの生活を守ることにつながるはずだ オーストラリア


■ 中国のほうがアメリカよりも危険だろ カナダ


■ ここのコメントに書いている奴らは世界の海軍で使われている潜水艦について何も知らないんだな オーストラリア

■ 潜水艦の維持にどれだけの税金と原子力の危険性をはらんでいると思ってるんだい オーストラリア

■ オーストラリア大陸には世界のウランの40%があるが、オーストラリアが保有するウランは30%に満たない オーストラリア

■ ウランを精製するには大変な金がかかるし、環境も悪化するぞ。 アメリカ

■ オーストラリアは、過去にウランを持っていたが、今では一部の医療や科学研究のために使われているだけだ。イギリス

■ カナダやオーストラリアでは核廃棄物は排出しないが、どのような国の原潜でも、核分裂過程で核廃棄物が発生する。 オーストラリア

■ 原子力潜水艦は長距離を無給油で行くことができる。そうりゅう型より多くの利点があるはずだ。  オーストラリア

■ 米国とアジアの水域を支配したい場合は、原子力潜水艦が必要だ!  オーストラリア

■ AIPは原子力に比べてかなり劣っている。AIPは、わずか2~5ノットの速度しか出せず、バッテリーは長時間もたない。再充電するためにわざわざ浮上しなければならないし、そもそも輸出を禁じられている。原子力潜水艦ならはるかに長い間潜ったまま移動する事ができる。オーストラリア




時間が足りず翻訳が不十分です、ごめんなさい・・・。


日本とオーストラリアとの話とあって、海外のコメントも多くがオーストラリアですね
オーストラリアでも日本の潜水艦の優秀さは知られているようですが、
コメントでは導入したいという声と原潜のほうが良いなど、意見が分かれているようです。
しかし、ここで注意したいのは、オーストラリアが望む大きさを持つ潜水艦があまりなく、
結果として日本の潜水艦が候補に挙がっているという点です。


オーストラリア海軍としては、アメリカからバージニア級原子力潜水艦を輸入したいようですが、
原子力潜水艦は建造費や運用コストも非常に高く、
問題もあることからアメリカが輸出する可能性は低いようです。

オーストラリアでは日本のそうりゅう型が目標とされるまで、
その選択肢はスペインのS-80A型潜水艦と言われております。
スペインのS-80A型潜水艦は世界的に見ても非常に先進的で、
強力なソナーやコンピューターを満載し、
武器装備は6門の533mm魚雷発射管、ドイツのDM2A4大型有線誘導魚雷で、
トマホーク巡航ミサイルと、さらにハープーン対艦ミサイルが発射できるという優れた潜水艦です。

しかし、オーストラリアが要求する大きさを下回るため、
日本の潜水艦が注目されることになりました。



オーストラリアの要求する大きさを持つ潜水艦は、
通常動力型潜水艦では今のところ日本のそうりゅう型だけと言われています。
それもそのはず、そうりゅう型潜水艦は、
通常動力型潜水艦としては世界一大きい潜水艦(2012年現在)なんですね。

通常動力の潜水艦は他国では2000トンぐらいが平均ですが、
日本のそうりゅう型の排水量は4200トンあり、外洋で使用するのに十分な能力を備えています。
(一部資料では3300トンとも)

そして、世界最先端のソナーシステムを備え、
そうりゅう型潜水艦は6門の533mm魚雷発射管を装備し、
日本国産の89式大型有線誘導魚雷、ハープーン対潜ミサイルを発射できます。
魚雷・ミサイルの搭載数は22発とのことです。



2012年現在、潜水艦を保有する国は43ヶ国とされており、
北朝鮮が72隻、次いで中国が71隻、ロシアが65隻、アメリカが57隻となっています。
しかし、北朝鮮の潜水艦は非常に小さく、深く遠くへは行けない代物ですので、
日本やアメリカなどが保有する大きく最新型の潜水艦には性能で大きく劣ります。


海上自衛隊 の実力とは・・1 携帯用動画

海上自衛隊 の実力とは・・2 携帯用動画

海上自衛隊 の実力とは・・3 携帯用動画



日本の潜水艦は通常動力型潜水艦では世界一の性能を持つと海外でもよく言われています。
なぜでしょうか?
そこにも、長年の経験や努力の積み重ね、
そしてそれらを支える小さな町工場の世界に誇る技術力などがありました。



日本では、旧ソビエト連邦の時代から自衛隊が敵潜水艦に目を光らせてきました。
そのため、日本では他国よりも特に、優れた潜水艦や、
それを発見するための哨戒技術が必要となりました。


今でこそ(まあ、今でも恐ろしい相手ですが・・・)丸くなったイメージのロシアですが、
少し前のソビエト連邦 (以下ソ連) だった頃は、知っての通り
アメリカと世界を2分するかの勢いの軍事超大国でした。

その軍事力と技術力は凄まじく、国産ロケットで世界初の人工衛星を打ち上げ、
最先端の戦闘機を自国生産し、空母を持ち、最新型潜水艦も作るというような、
ありとあらゆる兵器を作る事のできる軍事国家でした。

そんな国が日本のすぐ隣にあったわけで、これは大変な脅威でした。
そのソ連の脅威から日本を守り続けてきたのが日本の自衛隊なのですが、
当時の強国であるソ連が攻めてくることも当然想定していたため、
結果として哨戒技術なども発達しました。

今回は話の趣旨として、
特に潜水艦に焦点を当ててみたいと思います。



潜水艦の最大のウリは、その隠密性にあると言われます。
どこに何隻の敵がどのように潜んでいて、武器はどういったものか。
これらが不明であるが故に、大きな威嚇力となります。

その隠密性ですが、潜水艦も水中を進む以上、少なからず音が出ます。
空気を排出する音とか、潜水艦の中で中華鍋を振る音とか(笑)
しかし、潜水艦で一番問題となるのは、やはりスクリュー音でしょう。
スクリュー音は一般的に「音紋」と言われ、潜水艦を探す時は主にこの音を探します。




このように、潜水艦でも特に重要な部品であるスクリューですが、
海上自衛隊の潜水艦のスクリューはナカシマプロペラが作っています。

それだけではなく、世界で作られている船舶用プロペラ(スクリュー)の何と30%が
従業員407人というこの会社で作られているとのことです。
(確か他の国の潜水艦のスクリューの一部も日本で作っているという話をかなり昔、どこかで聞きましたが、
 軍事機密だろうし、さすがにそれはないと思います)

2005年に第1回「ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞を受賞とのこと ↓ 引用元
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船のスクリュー(船舶用プロペラ)はその特性上、
非常に精度の高い加工技術や長年にわたる材料工学の蓄積が必要ですが、
日本のかもめプロペラなども作っているなど、日本の企業が多くのシェアを占めています。
そして、これらの企業もやはり戦前から黙々と営業を続けてきた企業でもあります。



それ以外でも、潜水艦に使われる技術のうち、魚雷とか、
高張力鋼などの技術もたくさんあるのですが、
長くなってしまうので今回はこれも省略させていただきます(笑)



このそうりゅう型、今まで数日間が限度だった低速時の水中持続力を
何と2週間以上に伸ばす事を実現している点が恐ろしいですね。
よく原潜と比べられる通常型ですが、2週間も潜れるなら、
他国への攻撃に使う必要のない日本の使い方ならば十分と言えるでしょう。
そもそも、乗員のほうが参ってしまう気がしますし・・・。

そして、原潜というのは止まっていても熱が出るので、
その分通常型よりは音が漏れてしまうという話をよく耳にします。
コストの点から見ても、日本はこういった通常型のHENTAI性能の潜水艦を
徐々に増やしてゆくのが得策と言えそうです。



日本の潜水艦は、
日本企業の進んだ素材や高度な製造技術から作られており、
そのために高い性能を持っていると言えます。

オーストラリアがどこの潜水艦を導入するのか分かりませんが、
もし日本の潜水艦を輸出するとしたら、
日本の潜水艦のスペックが他国へ丸分かりになってしまい、
日本が使った場合における潜水艦の最大の武器 「抑止力」 を落とす結果になるかも知れません。
謎のままのほうが抑止力になる場合もありますし。



ここまで書いてくると、
日本の潜水艦が強いと言われる理由というのは、
潜水艦本体の性能が高いから、と思われるかも知れません。

もちろんそれもありますが、先述したように、自衛隊はずっと前から日本を守り続けてきました。
その結果、敵のデータもたくさん持っていると言われています。
この間の事件のように敵が領海内に侵入してくると、
敵の音紋を取得して逆に強くなっちゃうのが自衛隊なのかも知れません(笑)

これは潜水艦に限らないことですが、
過去の経験と自衛隊の方々の日々の訓練などにおける 「錬度の高さ」
最終的には、これに尽きると思います。




しかし、東芝機械ココム違反事件にもあるように、
日本企業の高い技術力は長期的に見ると
世界のバランスすら変えてしまうほどの力を持っています。

強い抑止力を持つ潜水艦の輸出はいろいろ考えさせられますが、
今の日本に一番必要なのはスパイ防止法ではないでしょうか。