科学技術の発達は人類に多くの恵みを与えてくれましたが、
同時に 「ゴミ問題」 という厄介な課題ももたらしました。

現在では日本だけでも年間に各家庭から1トン近くものゴミが捨てられており、
多くの自治体が処理に困窮しています。
大量に排出された不要な生活用品や電化用品は、
文明社会の負の側面を象徴しているかのようです。

中東と日本のごみ処理の違いを紹介している本動画を見て、
多くの視聴者が日本の美意識の高さに賞賛のコメントを寄せています。

燃えるごみや燃えないごみを分別する、悪臭をまき散らさないようにきちんと袋詰めする、
などのゴミ捨て時の作業は私たちにとってはきわめて常識です。

しかし、ゴミを乱雑に廃棄するだけの中東と比較すると、衛生観念の差は一目瞭然です。
日本人のごみ処理に対する国民性を見習うべきだという意見が多数見られます。
私たち自身も彼らの声を真摯に受け止め、ゴミ問題への意識をより高めていきたいものです。

動画


動画の概要 ↓

本動画は、中東でカリスマ的な人気を誇っているリポーター・アフマッド氏が
日本の文化を紹介する番組シリーズ「改善」の第5シーズンエピソード14です。
 
日本のテレビ番組もバラエティー色が強く、
海外を取り扱ったコンテンツにしても単なる物笑いに終始してしまうことが少なくありません。

しかし、アフマッド氏の番組は日本の食文化や生活習慣など
身近なテーマを非常に深く掘り下げており、
異国の文化を真剣に学ぼうという姿勢が見られます。

実際、私たち日本人にとっても改めて自国の文化の在り様を考えさせられるほど
氏の慧眼が織りなす考察は鋭く、日本を賞賛する氏の言葉を聞く度に身が引き締まる思いです。
 
今回のテーマは、「ゴミの一日」。
世界中で社会問題化しているゴミ問題に着目し、
日本と中東でのゴミ処理の違いを具体的に比較しながら、
衛生観念の乏しい中東の目指すべき道を模索しています。

■02:00~ ↓
038
日本のゴミ処理業者の仕事を取材するため、
アフマッド氏も早朝から東京のゴミ収集車出発地点の集合に参加しています。
 
入念に準備運動をして体をほぐしている作業員の方々の様子を実況しながら、
彼らの仕事に向かう意識の高さに早くも感心しています。
 

■02:42~ ↓
039
準備運動を終えた作業員の方々が車に乗り込み、順次ゴミ収集に出発していきます。
アフマッド氏は、たくさんのゴミ収集車がスムーズに出発できるように
手旗で交通整理を行う係の作業員もいることに注目しています。

■03:27~ ↓
040
作業員たちが周囲の交通状況を確認しながらトラックの運行を誘導しています。
交通事故が起こらないよう、大きな声出しとジェスチャーを徹底しつつ
041
交通ルールを守って他の車を尊重していることに、アフマッド氏は感心しています。

■03:57~ ↓
042
アフマッド氏もスタッフの車に乗り込んで、ゴミ収集車を追いかけながら現地へ向かっています。
前方を走るゴミ収集車を見て、車全体が非常に清潔感溢れていることに注目しています。

■04:30~ ↓
045
場面は中東へ。(なぜかここで悲しげな音楽w)

車道を走っている中東のゴミ収集車は背面がきちんとロックされていないため、
かなりのゴミが露出していることをアフマッド氏は指摘しています。
風でゴミが散乱したり悪臭が広がったりして環境にも良くありません。
043
日本と中東のゴミ収集車の違いは一目瞭然です。

■05:10~ ↓
046
場面は再び日本へ。

ゴミ収集地点に着いたため、作業員がゴミ収集車にゴミを入れ始めています。
日本ではゴミ用の袋は色やサイズが標準化されていて、
コンテナに入れられたゴミを効率よく収集できるとアフマッド氏は述べています。

■05:37~ ↓
047
ゴミを回収されたコンテナが丁寧に洗浄されています。
アフマッド氏は、コンテナを保管する際に殺菌消毒まで行って
徹底して清潔さを保っていることに感心しています。

■06:00~ ↓
048
さらにゴミ収集は続きます。
アフマッド氏は、丁寧に袋詰めされたゴミなら山積みになっていても
容易に収集車に放り込めることを指摘しています。

 049
中東の現場と比較すると、ゴミ収集にかかる手間は歴然です。

050
(矢印はサンダル履きで作業している点について指摘したいようです)

 ■06:45~ ↓
051
アフマッド氏が興味深い張り紙を発見しました。
日本では当たり前となっているゴミ出しルールを記載したものです。
日本では曜日ごとに回収するゴミの種類が決まっていて、
月曜なら燃えるごみ、土曜ならリサイクル可能な資源ごみといった具合になっていることに
アフマッド氏は大変感心しています。
(左下に見えるのはアフマッド氏の左手。熱く語っています) 

■07:33~ ↓
052
各地で回収を終えたゴミ収集車は最終的に処理場に到着します。
大量のゴミが堆積し、大きなクレーンによって次々と運搬されていきます。

053
予想以上の光景に息をのむアフマッド氏が驚きの声をあげています。

■09:00~ ↓
054
アフマッド氏は、日本のゴミ収集にはほとんど悪臭がないことを指摘しています。
ゴミを密閉する、生ごみを濡らさないなど、
腐敗臭が発生しないように市民一人一人が気をつけていることを高く評価しています。
055
また、小さな子供にもごみについて関心を持ってもらえるよう 
マスコットキャラなどを活用していることも注目しています。

この後、収集車の緊急停止ボタンなどについて説明を受けるアフマッドさんですが、
安全にも十分に配慮されている点なども注目しておりました。

ごみ収集車のおもちゃで遊ぶ子供 ↓
056

■12:45~ ↓
058
場面は再び中東へ。

中東のゴミ処理場に到着したアフマッド氏は、
車を開けた途端車内になだれ込んできた強烈な悪臭に悲鳴をあげています。
 057
アフマッド氏は悶絶して汗をぬぐいながら、
仕事とはいえ現場に行かなければならないことをかなり嫌がっています

■13:30~ ↓

悪臭対策マスクを装着したアフマッド氏がスタッフらと共にゴミ処理場を視察しています。
 
大型機械を用いて処理している日本とは対照的に、
野ざらしにされた大量のゴミが延々と広がっています。
060

 アフマッド氏はゴミが堆積している遠方の大地を前に、
処分しなければならないゴミの量に唖然としています。
059

■14:35~ ↓
061
アフマッド氏は番組の最後に、中東にはゴミ処理システムの変革が必要であると
視聴者に向かって呼びかけています。
アラー(神)に忠実に仕えるイスラムは誇り高い文化であれど
閉鎖的な一面をはらんでいることも否めず、
このままでは進歩の無い中東はゴミであふれかえってしまう。
 
宗教の違いにこだわらずもっと開国的になって、
日本が社会構造の発展に伴って確立した高度なゴミ処理技術を学び、
中東を美しい国にしていくべきであると述べています。
 
(今回の動画内容について、リポーターの方がどこに驚いているのか詳しく知りたかったため、
こちらもプロの方にヒアリング翻訳をお願いいたしました、素晴らしい翻訳ありがとうございます!)



以下、この動画に対する海外(主に中東)の反応 

■ アフマッドさん、素晴らしい動画をありがとう。 日本人を賞賛し、アラブ発展への思いを語る貴方のメッセージに感動しました。  確かに我が同胞は自分たちに出来ることすらおろそかにしている気がします。 私たちイスラム教徒も大いに見習わねばいけませんね。 +83 アメリカ 

 ■ re:素晴らしいコメントをありがとう。 アメリカ 

■ 何とも言えんなぁ…。 アメリカ 

■ 見事なごみ処理だね!! +49 サウジアラビア 

 ■ re:本当だよな! アラブ首長国連邦 

■ ノーコメント…。 スペイン 

■ こんなにきれいにゴミを回収してるなんて笑っちまうぜ。 インド 

■ サウジアラビアはどうしてこうなった。 サウジアラビア 

■ サウジアラビアなんてもともとこんなもんでしょ。 サウジアラビア 

■ まるで別の惑星並の差があるな。 サウジアラビア 

■ アフマッドさん、貴方はイスラム圏のアラブ人に新世紀の風をもたらしてくれる偉大な方だ。 +3 リビア

■ アフマッド氏ならアラブをより良い国にしてくれるに違いない。 +23 サウジアラビア 

 ■ re:おお、神よ…。 サウジアラビア 

■ このシリーズの動画は毎回とても身近なことをテーマにしてて、すごくためになるよなぁ。 サウジアラビア 

■ 実にいい動画だったよ!  なんで実現可能な事にチャレンジしないのか…、本当にその通りだよね。  イスラム圏と非イスラム圏では文化の違いはあるけど、みんなで協力すればもっと良い国になれるはずだよ!!! ヨルダン 

■ 結婚したら子供には日本で生活させたいな。  きっと彼らから素晴らしい人間性を学べると思うから。 +30 サウジアラビア 

 ■ re:私はヨーロッパに住んでますが、貴方と同意見ですね。 スウェーデン 

 ■ re:俺も連れてってくれよ~。(笑) サウジアラビア 

■ 意味わからん。イカれてんのか??? アメリカ 

■ あんまり期待は出来ないけど、本当に変わってほしいよなぁ。  なんにせよ、アフマッドさんと番組スタッフマジ乙でした。 サウジアラビア 

■ もっとうちの街もきれいになってほしいよ…。 サウジアラビア 

 ■ re:まったく同感だねぇ。 サウジアラビア 

■ 素晴らしい映像だったよ、ありがとう。 エジプト 

■ ひでーゴミ捨て場だな。 メキシコ 

■ サウジアラビアもこんな風にきれいになってほしいよ。 サウジアラビア 

■ はっきり言ってこの辺じゃゴミ捨て場から20km離れてたってゴミの匂いがするからな。 モロッコ 

■ 親愛なる同士に感謝。 サウジアラビア 

■ 実に素晴らしい番組だし、私もうp主と同感だね。 このシリーズが長く続くことを祈ってるよ。 +3 サウジアラビア 

■ 考えさせられるなぁ。 サウジアラビア 

■ サウジアラビアの都市開発を推進してくれるリーダーの存在が不可欠だ。 サウジアラビア 

 ■ re:サウジアラビアだけじゃなく、中東の全ての国を豊かにしてくれるリーダーがいいね。 +2 モロッコ 

■ エジプトじゃ大統領が街のゴミ掃除を命じたところで市民は聞きゃあしないよ。  この動画を見て心を入れ替えることから始めないと…。 エジプト 

■ 日本人に敬意を表すよ。 サウジアラビア 

■ 続きマダー? ヨルダン 

■ 日本とアラブはHD画質と144p画質並の差があるな。 +73 アメリカ 

■ YouTubeの動画のコメントを見てたら、うちの国だって進歩してるなって思うよ。  他国の文化を認めて尊重するなんてなかなか出来ることじゃないからね。(笑) +4 サウジアラビア 
(ここまで一部を除きプロのお仕事)



今回はサウジアラビアの大人気番組 「改善(KAIZEN)」 での
日本のごみ収集における反応を見てみました。
アフマッドさん、番組スタッフの人たちと仲良さそうですね(笑)

動画ではその清潔さと かけられている手間や工夫にリポーターが驚き、
「サウジアラビアもこのように変えてゆかなければならない」、
というコメントに多くの賛同が集まっておりました。

web上にあるこの動画でも多くの方がコメントを残しておりますが、
彼らはこの動画のどこに驚いているのか、その背景からはどのような事が見えてくるのでしょうか?


まず、動画では清掃員の方だけに任せる事なく
多くの日本人が一人ひとり責任を持ってごみと向き合っていること、
そして、より良い生活環境を保つために
周囲の人々と団結して問題に取り組んでいることについて称賛されておりました。

優れた収集車や巨大なごみ収集設備なども登場しているわけですが、
今回驚かれている部分はそこではなく、
 「ごみに対する日本人の意識や考え方」 という内面の部分に驚いているようでした。


ごみだけに限らず、周囲に対する心配りの細やかさというか、
そういったものに驚くコメントが多かったのは文化や宗教の違いも大きな要因といえそうです。

例えば、インドの方からのコメントもありましたが、
カースト制度が根強いインドでは 「机の上を掃除する人と床を掃除する人はカーストが違う」 ので
それぞれ別々の人が掃除する必要があるとのことで、
日本のように大人から子供まで多くの方が区別なく掃除している、 
こういった光景を見ると、大変驚くそうです。

これに関して日本では 「トイレの神様」 的な、
他人が嫌がる仕事を徳の高い人ほど勧んで行う、といったような
日本人の考え方や道徳もあると思います。

ちなみに、インドでも雨漏りを直す人やパイプのつまりを直す人、
エアコンを取り付ける業者さんなど、いろいろいるわけですが、それぞれ工事が完了すると
工事で出た切りくずなどの小さなごみや作業で付いた部屋の汚れは放置して
そのまま帰ってしまう(オイw)という話をよく耳にします。

業者さんに言わせると、「掃除するのは別のカーストの人」 だそうです。
これはどこの国が優れているとかいう話ではなくて、
人口の多い国でお互いに共存するための昔からの知恵なのかも知れません(笑)



さて、日本に話を戻しますと、
現在の日本では当たり前の 「ごみに対する意識」 は細やかなごみの分別などにも表れ、
それは日本という国を形作る一因ともなっています。

専門の職業などが存在していたことからも分かるように
日本では はるか昔からリサイクルの概念などが発達してきました。

実際に、江戸時代などに海外から来日した使節団が
街のあまりの清潔さに驚いたのは有名な話だと思います。

これは近年になって急速に清潔になったわけではなく、
ごみを極力少なくするために資源を無駄なく極限まで使う知恵や方法が
日本古来からの長い歴史の中で高度に磨かれ、
文化や道徳という目の見えない部分に考え方として浸透してきたことを意味します。


しかし、常に綺麗であったかというと、そうではない時代もあったのですね。
高度に経済が発展した昭和の頃では
急激に増大するごみの量に処理が追いつかない時期がありましたし、
残念ながら山や空き地などへの不燃ごみの不法投棄が問題になったこともありました。

 「窒息するので小さな子供は投棄された冷蔵庫の中に入らないように」 と
注意する文言が回覧板などに記載されたこともあります。

当時は全国的に公害や環境破壊が問題になっておりました。
忙しい生活に追われる日々のなかで、
ごみ処理や環境を考えている余裕がなくなっていたのかも知れません。
(しかしこの時代の発展があったからこそ、豊かな今の日本があるという側面もあります)

そんななか、古くからの綺麗な日本を見直そうという人々がおりました。
「故郷がこんな姿で良いのか」
それは昔からの美しい国へ立ち戻る、日本が変わる過渡期の出来事でした。


<立ちあがった人々>

これは地元では有名なあるお話です。

東京ディズニーランドから10kmほどのところに小さな干潟があります。
現在では多くの野鳥が羽を休める憩いの場となっておりますが、
一時期は多くのごみが集まり悪臭を放つありさまでした。

ごみのほとんどは東京湾から台風により流れ込んだ流木などでしたが、
近くに作られたレジャー施設からのごみも目立ちました。

日本各地で多くの工業用地が埋め立てにより作られていた時代、
この干潟の周りも県により埋め立てられ工場や道路、公園などが作られました。
国有地と登記されていたこの干潟だけは
県の権限ではどうする事もできず埋め立てられませんでしたが、
干潟を埋めて公共用地として使いたいとして習志野市も広報にその予定を載せていたので
道行く多くの人はこの干潟に特に関心を持たなかったのです。

そんななか、広大な干潟のごみを拾う一人の男がいました。
森田三郎 29歳の冬。新聞配達の合間をぬって、市川市からバイクでゴミ拾いに通い始めた青年に、好意的な目を向ける人はほとんどいませんでした。悪臭に悩まされ、早期埋め立てを望んでいた地元住民の中には、彼をよそ者呼ばわりし、目の前でゴミを捨てて行く者までいます。そして行政には干潟のゴミの引き取りを拒否される。そんな状況のなか、たった一人で谷津干潟愛護研究会を設立し、雨の日も雪の日もゴミ拾いを続け、数年が過ぎようとしていた頃でした。

彼の情熱に心をうごかされた地元の主婦が、ついに三郎にゴミ拾いの手伝いを申し出ました。  

それから徐々に支援者の輪が広がり始め、多くの市民が参加しての谷津干潟クリ-ン作戦の開催、主婦を中心とした谷津干潟環境美化委員会の設立、森田三郎の支援者・ゴミ拾いの仲間達による谷津干潟友の会のPR活動などをとおして干潟保存の気運が高まり、ついに市による埋め立ての方針が撤回されるに至ったのです。 谷津干潟友の会より引用
上記記事は資料により多少異なる部分がありますが、
森田さんがメディアにとりあげられた事で多くの人に知られる事になった功績や、
その後も各方面へ働きかけた努力などは非常に大きなものでしょう。



ここまで一人の功績に絞って書いてきましたが、
実は干潟を守り続けたのは決して一人だけではありませんでした。
広く知られていない裏側で、強い信念を持って長年にわたり戦った人々がいたんですね。

TVでとりあげられた時などは、人々の共感を得るためにドラマ性を重視し
ごみ拾いは森田さんが始めたとなっていますが、
それよりもずっと前からごみを拾っている方々がおりました。

まあ、これは誰が最初とかでなく、努力する全ての人が素晴らしい! と思いますけど・・・。


その他にも、干潟を守る会や野鳥を守る会など多くの方々の努力があってこそ
現在の綺麗な干潟が守られているわけであり、
それは地域住民の方々の多大なる努力もあったわけです。

古くから 「谷津海岸」 と呼ばれていたので 「谷津干潟」 と名付けられましたが、
昔からの場所を残したい方々の情熱が干潟を守ったとも言えるでしょう。

ここでは一例として上記干潟のお話を紹介させていただきましたが、
誰が悪いとかそういった話ではないという事を書かせていただきます。
当時、一部では埋め立てを望む声もありましたが、賛成・反対含め、
双方にそれぞれ納得に至る理由がありました。

そして、森田さんをはじめ多くの方々が
雨の日も風の日もごみを拾い続けたというのは事実なんですね。


そんな谷津干潟ですが現在ではラムサール条約に登録され、
多くの野鳥の生態系を支える場所としてたくさんの方々に守られています。
(ラムサール条約登録湿地は締約国168ヶ国、世界で2,165箇所しかない貴重な場所です)

関連リンク:日本湿地ネットワーク(JAWAN)


ひとりの青年が起こした行動も素晴らしいのですが、
そこから学び、自らの考えで後に続くことのできる人々もまた素晴らしいと思います。
そして、それは日本各地で起こっていたんですね。

人だけでなく、動物が奇跡を起こしたこともあります。
犬の 「もも子」 がごみを拾い続けた物語もありました。

動画 ↓ (埋め込み無効なのでyoutubeリンクのみ)
http://youtu.be/NLHWTUZt4w0
以下、動画の概要とナレーションの書き起こし

001
愛くるしい仔犬、名前はもも子
しかし、飼い主の中野さんは知るよしもなかった
002
その犬が人々の心を動かし、
とてつもない奇跡を起こすことになることを

※中略※

岩手県盛岡市の南にある紫波町
ここに中野英明さんが住職を務める蟠龍寺がある
003
物語は今から14年前(2013年時点では20年前)
1993年の春にさかのぼる

ある日、タウン誌を見ていた英明
普段は読み飛ばしていた広告ページの一か所に目が留まった
犬好きの夫妻は既に二匹の小型犬を飼っていた
004
しかし、以前飼っていた大型犬のシェパードが忠実だった事を忘れられず
またいつか大型犬を飼いたいと密かに想いを寄せていたのだ
これも何かの縁かも知れないとすぐにゴールデンレトリバーの子犬に会いに行った

生後40日の子犬たちの中から一匹を選ぶ事になった
007
するとその時
遅れて一匹が姿を現した
そのつぶらな瞳を見た時、英明に直感が走った
008
白い巻き毛の奥に覘く皮膚が桃の花のように可憐で美しい事から
もも子と名付けられた
009
他の二匹の先輩犬たちにも歓迎され、
中野家の大事な家族の一員となった

寺の近くを流れる岩崎川の土手が散歩のコース
010
かつては美しい川だったのだが・・・。

上流の川沿いで捨てられたごみがこの散歩コースに集まり
さらに不法投棄された粗大ごみが散乱していたのだ
011
だが英明は、ごみから目を背けていた

そんな頃、その後の彼の運命を大きく変える出来事が起きる
写真が趣味の英明は
高山植物を撮るために北上山地の最高峰、早池峰山を登っていたのだが・・・

見ると、大きなリュックを背負った青年が、先端にフックの付いた竹の棒を持ち歩いていた
しばらく様子を見ていると・・・
013
ごみを拾っていたのだ

014
英明 「山の管理人さんですか?」

青年 「いえ、違います」

英明  「じゃ、なぜごみを?」

青年 「僕は何度もこの山に登らせてもらってますから、ただのお礼です」
    「この山、好きなんですよ」

大好きな山にお礼がしたい
その青年の言葉を英明はわが身に置き換えた

015
「誰も見ていないところでね、額から汗をぼたぼた垂らして
腐った弁当の空箱まで手を入れている
いや~、その青年の姿を見ればやはり恥ずかしくなりますね」

翌日、英明は早速行動を開始した
016
息子たちと一緒に川のごみを回収
軽トラックに積んで清掃事業所まで運ぶ事にした

だが、ごみの量は凄まじかった
017
川沿いの至るところで捨てられるため、町としても注意を促すのに限界があった
結局トラックで何度も往復し、一日がかりの作業となった

そして翌日、清々しい気分で散歩に出かけたのだが・・・
またしても、心無い人間によるごみの不法投棄
018
それでも英明は毎日朝と夕方、もも子を散歩に連れていくたびにごみを拾い続けた

やがて、もも子が生後10カ月となった頃、思いもよらぬ出来事が
019
足を滑らせ、川に転落した途端、もも子がすぐに英明の元へ
020
しかし・・・。
021
教えたわけでもないのに、もも子は自ら川のごみを拾ってきたのだ
これが、もも子の活躍の始まりだった

そして翌日から、もも子は散歩に出るたびに川に入って
英明の届かない所にあるごみを拾ってくるようになったのだ
022
しかも木の枝など自然のものには目もくれず
ペットボトルなど人間が捨てたごみだけを選ぶ

自分を喜ばせるためなのか?
だが、他の人が散歩させた時も同じ行動をとったという

さらに、ある学生がごみを捨てるや否や
そのごみを拾い、捨てた人のへ戻しに行ったのだ
023

※以下、たけしさんのナレーション※
人間が捨てたごみだけを毎日拾い続けるもも子
その行動は多くの人を巻き込む一大ムーブメントとなり
やがては社会を変える大きな力へと発展していったのです

※中略※

自らごみを拾うかわいいゴールデンレトリバーの噂はいつしか街中に広がり

024
そして・・・。
ついに、地元のニュース番組で報じられるまでになった
ちなみにこの時もも子は、カメラの前で臆するどころか
いつもより張り切ってごみを拾い続けたという

しかしこれは、もも子に関するニュースのほんの始まりに過ぎなかった

テレビを観た多くの子供たちがもも子の散歩に付き合い、
一緒に川のごみ拾いをするようになったのだ
026
やがては大人たちも
住人の意識が少しずつ変わり始めていた

だが、こんな事も起こった
なんと、捨てられたガラス瓶の破片で肉球を切ってしまったのだ
幸い、怪我は思ったほど重症ではなく、ほどなくして傷は癒えたのだが・・・

「さすがにもう怪我を怖がって、もも子がごみを拾う事はないだろう」
英明はそう思っていた

しかし・・・。
025
まるで怪我などなかったかのように勇敢にごみを拾ってきたのだ

「人間も何かしなければ」

もも子に背中を押されるように、
英明は一通の手紙を書いた
027
紫波町の美しい自然を
次の世代に生きる人々のために
なんとか残したいものであります
綺麗な町作りをするために
「ごみポイ捨て禁止条例」 を
制定してください

英明さんのこの小さな提案が町議会の審議の訴状にあがったのだ
028

※中略※ (当時の町長さんごめんなさいw

そして1999年
全会一致で採択された、紫波町としては初めての罰則付き環境条例
「ゴミポイ捨て禁止条例」 がついに制定された
029
もも子の頑張りがなんと町の議会を動かし、条例までも誕生させたのだ


ごみを集め始めて10年・・・
030
もも子は10歳になっていた

条例が制定されごみは減っていたが
それでももも子たちのごみ拾いは毎日続けられていた
ところが・・・
もも子が乳がんを患ったのだ
031
幸い発見が早く手術は成功した
しかし、体力は目に見えて衰え始めていた
動きも鈍くなり、水に入る事も難しくなっていた

だが・・・!
じっと、ごみの行方を目で追うのだった

2006年、もも子は14歳になっていた
033
ほとんど耳も聴こえず、もちろん川に入る事もない
それでも、その存在感は以前と変わらぬままだった

当時、ごみの問題に力を入れていた岩手県庁が
県民にアピールするためのポスターに もも子を起用したのだ
034
ごみを咥えたその愛くるしい姿は大反響を呼んだ

※中略※

その年(2006年)の11月12日
英明にとって、忘れられない日となった

その朝、もも子はいつになく調子が良かった
早朝の散歩を終え、英明は朝のお勤めに入った
そして・・・

※中略※

その一本のペットボトルが もも子の最後の仕事だった
036
もも子は14年の生涯を静かに閉じた

※以下、英明さんの言葉※

「その夜、ちょっと食欲がなかったんですね
あの犬は甘いのが好きですね。
で、たまたまシュークリームがテーブルにありまして、
本当は一個あげたかったんですけども、
犬には甘いのは良くないと思いまして。

中のクリームの部分だけ私が食べまして、皮の部分だけもも子にあげたんですけども
今思えば、まるまる一個
シュークリームあげればよかったなと
後悔しているところです」

037
英明さんともも子が川のごみを拾い始めてから15年が経った今、
人間の力ではどうにもならなかったあの川は
もも子の願い通り青空のように澄み切っていた
これ以降は省略させていただきましたが、
この後に重要な部分が含まれておりますので
ぜひリンク先にて観ていただきたいと思います。

続きはこちら(youtube)から


ここまで、日本でも昔ごみ問題を抱えていた時期があったことについて見てきました。
現在ではかなり 「改善」 されているのですが、
それらを見てみると、共通しているものがありそうです。

例えば、周りの人々が手伝わず、ごく一部の人がごみを拾っただけでは
現状はあまり変わらなかったのではないでしょうか?
(それでもこの方々はごみ拾いを続けたと思いますが)

干潟の件や犬のもも子の件、
勧んでごみを拾う青年や 犬のもも子も大変素晴らしいのですが、
その行動を見て恥ずかしいと思える心、
さらに自らの意思で後に続くことのできる人もまた素晴らしいと思います。
こうした多くの人々の協力があってこそ、達成できた奇跡だと思わずにはいられません。


今回の最初の動画での番組名が 「改善」 ということもありますが、
素直に他の良いところを見て反省し、
活かすことができるというのは実はすごい事ではないでしょうか。

日本もそうして発展してきましたし、そのようにより良くしてゆける人々が住むのならば、
きっと明るい未来が待っているに違いありません。
日本でもまだまだごみが散らかっていたり、捨てられているところを見かけます。
彼らに負けないよう、もっと気を引き締めてゆきたいところです。

そういえば昔、近所の子供に
「マンボウや海ガメがクラゲと間違えて食べて死んじゃうからビニールをポイ捨てしちゃだめだよ」
と言ったことを思い出しました。
するとその子はごみをポイ捨てすることはなくなったんですね。
悪いところを直せる素直さというのは、やはり素晴らしいと思います。


中東における日本のネタを発掘するにあたり、
日本のテクノロジーや自衛隊などに関する反応も少し調べてみましたが、
彼らはこうしたハード的なものよりも日本人のソフト面、 「内面的な考え方」 などについて
より強い興味があるようでした。

一神教であるイスラムの教えでは世界を神が作ったとされておりますが、
アラーが唯一の神であり、アラー以外の神を崇めてはいけないとされております。
知っての通り、根本的な考え方が多神教である日本ではいたるところに神様がいますが、
どれか一つの神さまだけを信仰せず、
多くの神を信仰する人は向こうでは無宗教に近いものと捉えられると聞きます。

今回の動画のような事が特別な宗教なくして広く普通に行われている事実こそ、
イスラム圏の方々が驚いている最大の理由なのかも知れません。


・・・お正月だから大丈夫かなと思っていたのでまた長くなってしまいました(汗)
この他にも日本で出ているごみの量とか
清掃工場の最新技術やリサイクルにおける、溶けて混じり合った金属を分ける技術(これも凄いんですよねw)
などについてもご紹介したかったのですが、それは別の機会に

あっ。今年も終わってしまいますね。
私の場合は部屋が散らかっていてヤバイ事に (笑)
(お正月だけあって何日間かごみの収集が来ないのですが、こういう時に有難みが分かりますねw)


今年もいろいろありました。
至らないところだらけの当サイトを応援して下さるみなさま、いつもありがとうございます。
来年も皆さま方に幸多からん事を・・・。

それでは、良いお年を!


↓ おすすめ記事! ↓

 日本の町中のゴミ箱の少なさは異常 海外の反応 翻訳したらこうなった さま
コンビニの貢献度も忘れないであげてw

 
「ゴミが全くないね」 錦帯橋に行ってきたよ 海外の反応 こんなニュースにでくわした さま
 こちらの海外コメントでも、ごみ箱の少なさに驚く方が多いようですねw